みなさんこんにちは。
今回はポケットビリヤードのルールについて考察してみたいと思います。
NBA(日本ビリヤード協会)では、NBAルールというものが制定されており、現在日本国内での唯一の公式ルールです。
ただ、ポケットのプロ団体であるJPBA(NBA傘下)では、NBAルールは使用されておらず、WPA(World Pool-Billiard Association)のルールを使用しています。
つまり、ポケットビリヤードでは、プロはWPAルールを、アマチュアはNBAルールを使用しているということになります。
→NBAルールはこちら(ビリヲカページ内)
→WPAルールはこちら(英文・外部リンク)
では、NBAルールとWPAルールの違いはいったいどこにあるんでしょうか?
NBAルールのポケットビリヤード競技規定 第1章 総則 第1条では「WPAの定める国際競技規定を準用する」とあり、基本的には大きな違いはありません。
またこの規定により、NBAルールに明記されていない点はWPAルールに従うと判断されると思われます。
しかし、いくつかの点で相違が見られるので、拙い英語力を駆使して英文のWPAルールと格闘し、NBAルールとWPAルールの違いを挙げて行きたいと思います。
まずは、日本独自のルールといえる「ダブルヒット」に関するルールがあります。
ダブルヒットとは、いわゆる二度撞きのことで、一度のショットで2回タップが手玉に触れてしまうことです。
WPAルールではもちろんファールですが、NBAでは「手球と的球の距離がチョーク1個分以下の場合は事前に宣言しておけば、二度撞きをしてもセーフとみなされる」ということになっています。
また、それに関連して、フローズン(完全に接触した状態)のボールに関しても違いがあります。
手球と的球がフローズンの場合、NBAではダブルヒットコールをしておけばどの方向にも撞くことができますが、WPAルールでは普通に撞けば常にファール(二度撞き)となってしまうので、「フローズンの場合のみどの方向に撞いてもセーフとみなされる」ということになっています。
つまり、国内では、アマチュアの試合ではダブルヒットコールが使えるが、プロの試合では使えない、ということです。
またバンキングも微妙に違うようです。
WPA
1.ロングライン(真ん中の線)を超えてはならないし、サイドクッションにあたってもいけない
2.反対側の短クッションには一度しか当ててはいけない(2往復はだめ)
3.ポケット内に残った場合も、短クッションの延長線を超えていてはだめ
4.片方の選手の球が反対側のクッションに当たるまでに撞き始めなかった場合、もう一度やり直し
NBA
1.ロングラインを超えなければサイドクッションに当たっても良い
2.2往復のバンキングでも良い
3.ポケット内に残った場合は、短クッションの延長線に近いものを勝者とする
4.片方の選手の球が反対側のクッションに当たってセンターに戻ってくるまでに撞き始めなかった場合、負けとなる。
NBAの4は厳しいですね・・・・・。
また、器具に関しては、NBAではキューの持込は3本までという規定がありましたが、2008年6月より、NBAからこの規定を削除するというアナウンスがありました。
次に、細かい点ですが一度落ちたボールをフットスポットに復帰する場合も少し違います。
NBAでもWPAでも、フットスポットにボールが置けない場合や複数のボールを復帰させる場合にはフットスポットとフットクッションの間に並べていきます。
しかし、フットスポットとフットクッションの間に置くスペースがない場合、WPAではフットスポットの上側に並べていくのに対し、NBAではセンタースポットに置くことになっています。
センタースポットも置けない場合はどちら側に並べて行くのかは明記してありません・・・。
次のページでは、それぞれの種目ごとのルールを見て行きます
[page_break]「NBAルールとWPAルールの違いについて」 ページ2
では、種目ごとに違いをみてみましょう。
◇9ボールに関して
基本的に大きな違いはありません。
前述の一般的なルールの違いが適用されるくらいですね。
◇10ボールに関して
NBAルールでは、9ボールとラックの組み方以外なにも変わりません。
WPAルールでは、9ボールと違い基本的にコールショットとなっています。
以下がWPAでの10ボールの大まかなルールです。
・入れるポケットと番号をコールする(空クッションの時なども同様)。
・入れるつもりがない場合はセーフティをコールする。
・基本ジェントルマンズコール(分かりにくいもののみコールするだけでよい)。
・交代ブレイク。
・ブレイク時の10ボールインはフットに戻す(=ブレイクエースなし)。
・ノーコールインの場合は相手がそのまま撞くか相手に撞かせるか選ぶことができる。
上記以外は9ボールと同様です。
◇8ボールに関して
8ボールはローカルルールが非常に多い種目と言われており、WPA、NBAに関しても細かな点で差異が認められます。
1.NBAではオープンテーブル(まだ自分のグループボールが決まっていない状態)の場合、セーフティに限って8番ボールから当てることができるが、WPAではいかなる場合も8番ボールから当てることはできない。
2.NBAではブレイク時に8ボールが場外したらそのゲームは負けとなるが、WPAではブレイク時「以外」に8ボールが場外してしまった場合に負けとなる(=ブレイク時は普通のファール)。
3.NBAでは、自分のグループボールをすべてポケットした後にファールをしたら、即そのゲームは負けとなるが、WPAではそういった規定はない。
4.NBAではスリーファールのルールが適用されるが、WPAでは適用されない。
5.ブレイクはWPAでは基本的に交代ブレイクだが、NBAでは交代ブレイクに限定されていない。
◇14-1に関して
オープニングブレイクでファールをした時に、もう一度ラックをしてブレイクをさせるか、そのまま引き継いでプレーをするかを選択できますが、
・NBAでは、もう一度ブレイクをさせた場合には相手から減点2、引き継いだ場合は減点1
・WPAでは、どちらを選択しても相手から減点2
となっています。
14個目のボールをポケット入れた後、ブレイクボールも手球もラック内に入っている場合、
・NBAでは、15個でラックを組み、手球キッチンからオープニングブレイク
・WPAでは、15個でラックを組み、手球キッチンからだが、オープニングブレイクではない
つまり、NBAでは手球と2個以上の的球をクッションに入れる必要があり、ファールをした場合も減点2になるということになります。
なぜこのようにしたのかは不明ですが、詳細をご存知の方がいらっしゃればフォローをお願いします。
◇その他の種目について
ローテーション、ボウラードはNBAに規定がありますが、WPAには規定がありません。
また、WPAには「Black Ball」の規定がありますが、NBAにはありません。
以上が大まかなWPAルールとNBAルールの違いです。
NBA、WPAどちらとも今後ルールが変遷していくでしょうが、基本的にNBAがWPAに近づいていく方向に進むのではないでしょうか。
ルールについて間違った点や疑問点、紹介されていない両ルールの差異などがありましたら、コメント欄にてどしどしお寄せください!
今回はポケットビリヤードのルールについて考察してみたいと思います。
NBA(日本ビリヤード協会)では、NBAルールというものが制定されており、現在日本国内での唯一の公式ルールです。
ただ、ポケットのプロ団体であるJPBA(NBA傘下)では、NBAルールは使用されておらず、WPA(World Pool-Billiard Association)のルールを使用しています。
つまり、ポケットビリヤードでは、プロはWPAルールを、アマチュアはNBAルールを使用しているということになります。
→NBAルールはこちら(ビリヲカページ内)
→WPAルールはこちら(英文・外部リンク)
では、NBAルールとWPAルールの違いはいったいどこにあるんでしょうか?
NBAルールのポケットビリヤード競技規定 第1章 総則 第1条では「WPAの定める国際競技規定を準用する」とあり、基本的には大きな違いはありません。
またこの規定により、NBAルールに明記されていない点はWPAルールに従うと判断されると思われます。
しかし、いくつかの点で相違が見られるので、拙い英語力を駆使して英文のWPAルールと格闘し、NBAルールとWPAルールの違いを挙げて行きたいと思います。
まずは、日本独自のルールといえる「ダブルヒット」に関するルールがあります。
ダブルヒットとは、いわゆる二度撞きのことで、一度のショットで2回タップが手玉に触れてしまうことです。
WPAルールではもちろんファールですが、NBAでは「手球と的球の距離がチョーク1個分以下の場合は事前に宣言しておけば、二度撞きをしてもセーフとみなされる」ということになっています。
また、それに関連して、フローズン(完全に接触した状態)のボールに関しても違いがあります。
手球と的球がフローズンの場合、NBAではダブルヒットコールをしておけばどの方向にも撞くことができますが、WPAルールでは普通に撞けば常にファール(二度撞き)となってしまうので、「フローズンの場合のみどの方向に撞いてもセーフとみなされる」ということになっています。
つまり、国内では、アマチュアの試合ではダブルヒットコールが使えるが、プロの試合では使えない、ということです。
またバンキングも微妙に違うようです。
WPA
1.ロングライン(真ん中の線)を超えてはならないし、サイドクッションにあたってもいけない
2.反対側の短クッションには一度しか当ててはいけない(2往復はだめ)
3.ポケット内に残った場合も、短クッションの延長線を超えていてはだめ
4.片方の選手の球が反対側のクッションに当たるまでに撞き始めなかった場合、もう一度やり直し
NBA
1.ロングラインを超えなければサイドクッションに当たっても良い
2.2往復のバンキングでも良い
3.ポケット内に残った場合は、短クッションの延長線に近いものを勝者とする
4.片方の選手の球が反対側のクッションに当たってセンターに戻ってくるまでに撞き始めなかった場合、負けとなる。
NBAの4は厳しいですね・・・・・。
また、器具に関しては、NBAではキューの持込は3本までという規定がありましたが、2008年6月より、NBAからこの規定を削除するというアナウンスがありました。
次に、細かい点ですが一度落ちたボールをフットスポットに復帰する場合も少し違います。
NBAでもWPAでも、フットスポットにボールが置けない場合や複数のボールを復帰させる場合にはフットスポットとフットクッションの間に並べていきます。
しかし、フットスポットとフットクッションの間に置くスペースがない場合、WPAではフットスポットの上側に並べていくのに対し、NBAではセンタースポットに置くことになっています。
センタースポットも置けない場合はどちら側に並べて行くのかは明記してありません・・・。
次のページでは、それぞれの種目ごとのルールを見て行きます
[page_break]「NBAルールとWPAルールの違いについて」 ページ2
では、種目ごとに違いをみてみましょう。
◇9ボールに関して
基本的に大きな違いはありません。
前述の一般的なルールの違いが適用されるくらいですね。
◇10ボールに関して
NBAルールでは、9ボールとラックの組み方以外なにも変わりません。
WPAルールでは、9ボールと違い基本的にコールショットとなっています。
以下がWPAでの10ボールの大まかなルールです。
・入れるポケットと番号をコールする(空クッションの時なども同様)。
・入れるつもりがない場合はセーフティをコールする。
・基本ジェントルマンズコール(分かりにくいもののみコールするだけでよい)。
・交代ブレイク。
・ブレイク時の10ボールインはフットに戻す(=ブレイクエースなし)。
・ノーコールインの場合は相手がそのまま撞くか相手に撞かせるか選ぶことができる。
上記以外は9ボールと同様です。
◇8ボールに関して
8ボールはローカルルールが非常に多い種目と言われており、WPA、NBAに関しても細かな点で差異が認められます。
1.NBAではオープンテーブル(まだ自分のグループボールが決まっていない状態)の場合、セーフティに限って8番ボールから当てることができるが、WPAではいかなる場合も8番ボールから当てることはできない。
2.NBAではブレイク時に8ボールが場外したらそのゲームは負けとなるが、WPAではブレイク時「以外」に8ボールが場外してしまった場合に負けとなる(=ブレイク時は普通のファール)。
3.NBAでは、自分のグループボールをすべてポケットした後にファールをしたら、即そのゲームは負けとなるが、WPAではそういった規定はない。
4.NBAではスリーファールのルールが適用されるが、WPAでは適用されない。
5.ブレイクはWPAでは基本的に交代ブレイクだが、NBAでは交代ブレイクに限定されていない。
◇14-1に関して
オープニングブレイクでファールをした時に、もう一度ラックをしてブレイクをさせるか、そのまま引き継いでプレーをするかを選択できますが、
・NBAでは、もう一度ブレイクをさせた場合には相手から減点2、引き継いだ場合は減点1
・WPAでは、どちらを選択しても相手から減点2
となっています。
14個目のボールをポケット入れた後、ブレイクボールも手球もラック内に入っている場合、
・NBAでは、15個でラックを組み、手球キッチンからオープニングブレイク
・WPAでは、15個でラックを組み、手球キッチンからだが、オープニングブレイクではない
つまり、NBAでは手球と2個以上の的球をクッションに入れる必要があり、ファールをした場合も減点2になるということになります。
なぜこのようにしたのかは不明ですが、詳細をご存知の方がいらっしゃればフォローをお願いします。
◇その他の種目について
ローテーション、ボウラードはNBAに規定がありますが、WPAには規定がありません。
また、WPAには「Black Ball」の規定がありますが、NBAにはありません。
以上が大まかなWPAルールとNBAルールの違いです。
NBA、WPAどちらとも今後ルールが変遷していくでしょうが、基本的にNBAがWPAに近づいていく方向に進むのではないでしょうか。
ルールについて間違った点や疑問点、紹介されていない両ルールの差異などがありましたら、コメント欄にてどしどしお寄せください!